著者の竹森俊平・慶應義塾大学教授は、世間一般では「欧州債務危機」と呼ばれることが多い危機を本書中では「ユーロ危機」と呼んでいる。危機の第一段階は、2008年米国発の金融危機。第二段階として、「危険からの逃避」の投資家心理が欧州に伝染し、危機の発生前から欧州が抱えていた共通通貨ユーロという構造問題に引火したのが「ユーロ危機」と位置付けている。 共通通貨ユーロを構造問題と捉えるのは、ユーロ圏が最適通貨圏を形成していないからだ。生産性もインフレ率も異なる国々で単一の金融政策しか採用できない一方、財政政策は各国独立というアンバランスが、構造問題を構成するという。 危機前には、ドイツなどインフレ率が低く名目金利が低い中核国で借りた資金をスペインなどインフレ率が高く名目金利が相対的に高い周辺国へ投資して名目金利の差分を稼ぐキャリー・トレードが盛んに行われていた、と指摘する。ドイツはマルク、スペインはペ
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く