作家の村上春樹がせっせかせっせかとマラソンで努力されている話は、けっこう有名だと思います。彼は、個人・村上春樹の健康のために走っているというよりは、小説家・村上春樹として、より良い小説を創り出すために走っている、という部分が強い印象を受けます。 なぜ走ることと小説を書くことがつながるのか? という話の詳細を知りたい方は『走ることについて語るときに僕の語ること (文春文庫)』とかを読んでもらうとして、その理由を私流に解釈して簡潔にのべると、「不健全な精神は健全な身体に宿さなければならないから」というようなことがいえそうです。 小説を書いている人や絵を描いている人、もしくは私のようにそれなりの量の芸術作品に触れている人には身に覚えがあるのではないかと思うのですが、自分や他人が創り出したものは、ときに強力な負のパワーを帯びることがあります。そして、油断しているとその負のパワーに、ずるずると引きず