今さら聞けないマルチプロセッサの基礎教えます ――キャッシュの共有,割り込みの共有,OSによる制御 木村啓二 ● マルチプロセッサでキャッシュの一貫性を維持する もう少し詳しく見ていきましょう.図1のようなシステムで,マルチプロセッサに対応していないCPUを単に接続するとどうなるかを考えてみます(図3).話を単純にするため,CPUの数は二つ,キャッシュは1次キャッシュのみとし,データの書き込みはライト・スルー方式注1を用いて随時メイン・メモリにデータを書き込むものとします. まず,図3(a)の初期状態では,CPU0とCPU1の両方のキャッシュに同じデータAがあります.ここでCPU0がAをA'に更新すると,メイン・メモリ上のデータもA'に更新されます.しかし,更新情報はCPU1のキャッシュまでは伝わらないので,CPU0のキャッシュ,CPU1のキャッシュ,メイン・メモリの3者の間でデータの一貫