――お二人が初めて会ったのは、山田風太郎賞の選考会だと伺っています。 筒井 私は今、文学賞の選考委員を二つやっているんです。谷崎(潤一郎)賞ではその年の最先端の純文学を候補作として読んで、それから風太郎賞のほうでその年の最高のエンタメの作品を読んでいるんですが、去年の風太郎賞に推挙したのが塩田君の『罪の声』でした。 塩田 山田風太郎賞にノミネートされた時点でまず何が嬉しかったかというと、僕の小説を筒井先生に読んでいただけることだったんです。僕も先生と同じ関西の人間ですし、生まれた時からずっと「筒井康隆」という大きな存在を感じ続けて生きてきたので……。選考会のパーティーでお会いして「読みましたよ」と言ってくださった時は、感動に打ち震えました。さらにまた、新作までお読みいただけているというのはまったく想定外で。 筒井 前作以上の傑作ですよね。面白いし、巧い。(『騙し絵の牙』の表紙を指差して)こ