https://anond.hatelabo.jp/20221123155759 家で看取ると決め帰宅させた夜はカタールワールドカップ日本代表初戦だった。サッカー中継と天気予報と「ダーウィンが来た!」が好きでいつも食い入るように見つめる猫だったが、ソファの下でコの字のまま横たわる彼女の視線の先に日本代表が映っているのか定かではなかった。 目の大きな猫だった。晴れた午後に窓の外をじっと眺める澄んだ水晶体は、何かを見ているというより、宇宙全体を感じ取っているかのようだった。哲学者のそれというより、哲学そのものだった。 ベッドにつくのを察知するとどこからともなく現れてお腹の上に乗ってきた。薄明かりの中、目尻の少しつり上がったその目いっぱいに黒目を広げる彼女の顔は、紛れもなくあの宇宙人の顔だった。「宇宙で一番かわいい宇宙人だね」そう言って抱きしめると首のモーターがブンブン駆動した。 具合が悪くなる