この国では長らく官僚制の支配が続いているためか、「官」を憎むあまり「民」を過剰に高く評価する傾向がある。 中曽根政権による国鉄民営化や小泉政権による郵政民営化は、そんな大衆の「官」への不信と「民営化」信仰を背景に強行された。最近も社会保険庁がやり玉に挙がり、「ねんきん事業機構」に衣替えさせられることになった(これもいつ民営化の話が出てもおかしくない)。 「行政のムダをなくす」=「民営化」という公式は依然としてこの国の世論を支配している。 現在「行政のムダ」としてやり玉に挙がっているのは、何といっても独立行政法人(独法)である。 もともと橋本政権が「行政改革」の一環として作ったものだが、小泉政権は特にこれを利用し、国の機関の一部や特殊法人や大学などを次々に独法とした。民間企業と同様、納税義務があり、実績により予算が左右されるなど、一種の市場原理が導入された。 しかし、これまでの特殊法人などと