「貸出」の普及により、公共図書館が大きく変わったことについては誰もが評価するところだし、それを批判したり増してや否定する気など毛頭無い。ただ、公共図書館の貸出が支持されてきた背景には、当時の成長し続ける日本経済の状況と、その時代の中にいる人たちの労働への意識があり、その背景が全く異なる現在、公共図書館の貸出に異を唱える人々が目立つのは、ある意味当然なのだろう。 過去にも、「貸出」に対する批判が無かった訳ではない。例えば、「図書館が貸出するから本が売れない」という批判もあったと思うが、当時はそれでもモノが売れたから、逆に、公共図書館の存在があったから書籍の売り上げに繋がったという部分もあったし、実際の効果はどうあれ、とにかくモノが売れた。そんな時代に、貸出に異を唱えるのは寧ろ得策ではないという事が状況としてわかっていたのだろう。だから、現在この貸出を批判する声が矢鱈と大きく聞こえるのは、当