今週のコラムニスト:レジス・アルノー 最近の日本には「恐怖インフル」のパンデミック(世界的大流行)が広まりつつあるようだ。通常のパンデミックに比べて、恐怖インフルの感染源を突き止めるのはたやすい。それは中国でもメキシコでもなく、メディアだ。 「恐怖インフル」は狂牛病と似ていて、人々の脳を冒す。感染者は明晰な思考能力を失い、「安全第一!」を繰り返しながら走り回るようになる。このインフルエンザの明らかな被害者は、舛添要一厚生労働相だろう。テレビに映る彼の顔は、いつも変に引きつっているように見える。 幸いなのは、恐怖インフルは致命的ではないということ。恐怖インフルを引き起こす病原体は豚インフルエンザ、別名メキシコ風邪とも呼ばれる新型インフルエンザだ。 4月29日にWHO(世界保健機関)が警戒水準を「フェーズ5」(パンデミックの一歩手前で、複数の国で人から人への感染が進んでいる証拠があることを示す