こんな本さえ読まなかったら、仕事が手につかないこともなかったのに。日記だって更新できたのに。何より読後の寂寥感、たとえば"もうおれはこの本を読んではいないのだ、読み終わってしまったのだ、もう二度とこの本をはじめて読むことができないのだ"なんてものを感じずに済んだのに。 大森望氏が書いている巻末の解説にあるとおり、SFを読んできたことをこれほどうれしく感じたことはない。そして悲しく思ったこともない。こんな素晴らしい読書体験が永遠には続かないなんて!誰か記憶を消してくれ!おれをループするバグのあるプログラムの中に閉じ込めてくれ!ちくしょう、これからこの小説に出会う連中が憎い。この小説は確かに二度も三度も四度も五度も読める名作だけど、一度目は一回しかないんだよ!おれ何を言ってるんだろう。 仕方がないから理系のひとが作ってくださった解説を読んで気を紛らわそう。 Diaspora-板倉充洋氏によるグ