企業にアイデアをもたらしてくれる、「消費者イノベーション」。革新的なアイデアに出合うために、企業が探すべき顧客とは──。 神戸大学大学院経営学研究科 教授 小川 進=文 平良 徹=図版作成 「デコクロ」は消費者イノベーションと言えるのか 前回(>>記事はこちらから)はゼロから製品を作ったり、既製品に手を加えて改良する創造活動を行う消費者が無視できないほど存在し、英国では消費財メーカーが投入している研究開発費の約2.3倍の金額をそうした創造活動のために使っていることを紹介した。しかもそこで生み出された製品の多くが本人が使うレベルにとどまっており、企業の製品案として採用され製品イノベーションへと結実していることは非常に少ないということだった。 前回(>>記事はこちらから)の記事を読んだ人から質問を受けた。自分の身の回りのできごとが消費者イノベーションと呼べるのか、というものだ。例えばユニクロ
ならば、従来品の約3倍の価値のある製品を開発すればいいのかというと、そう単純な話でもない。心理的バイアスはつくり手のほうにも作用するからだ。 新製品の開発担当者は、当該製品の最高の理解者である。生い立ちから長きにわたって製品にかかわり、さまざまな長所を知り尽くしている。ただ、この熱心さに落とし穴がある。 ある人やものとの接触回数が増えれば増えるほど好感度が高まる現象を「単純接触効果」と呼ぶが、この効果が開発担当者の目を曇らせる。製品開発を通して何度も当該製品に接するうちに思い入れが強くなり、顧客も同じように新製品の価値を理解してくれると思い込む可能性があるのだ。 ハーバード大学のジョン・グルビル教授によると、結果的に売り手は自社で開発した製品やサービスの価値を3倍に過大評価するという。 じつはプリウスが市場に広く受け入れられ始めたのは2003年発売の2代目からで、初代はトヨタのイノベーショ
>>「注目理論が斬る『職場のナゾ、お金の不思議』」の目次はこちら 「期待の新製品」がヒットしない理由とは 2009年5月に発売されたトヨタ自動車の3代目新型「プリウス」が好調だ。エコカー減税の恩恵があったとはいえ、注文すると納車が8カ月先になるほどの人気ぶり(2009年8月末現在)。世界的な自動車不況で減産を強いられているトヨタにとって、新型プリウスは希望の星だろう。 新型プリウスは、トヨタが満を持して送り出した新製品である。ただ、世の中にはヒットを期待して市場導入されたものの、消えていく新製品のほうが圧倒的に多い。わが国の主要消費財メーカー1000社(回答265社)を対象に実施された「第5回ヒット商品開発調査」(日経産業地域研究所、2007年)によると、新製品のヒット率は26%。じつに4分の3の新製品が、開発者やマーケターの期待を裏切っている。 新製品開発には、つくり手側を出発点とする“
IMJモバイルは13日、「ECサイトに関する利用実態調査」の結果を公表した。商材によってECサイトの利用についてもさまざまな違いがあることがあきらかになったという。調査期間は11月16日~17日で、15~49歳の最近1年間にECサイトを利用した男女、722名から有効回答を得た。 まずECサイトを閲覧するタイミングを尋ねたところ、「価格を確認したいとき」(61%)がもっとも高く、次いで「現在利用している商品がなくなった、壊れたとき」(47%)、「商品ラインナップを確認したいとき」(38%)となった。商材別に見ると「家具/インテリア」「PC関連/AV/家電製品」では、価格や商品ラインナップを確認したいときに閲覧する傾向が高く、また店舗に行く前のECサイト閲覧も他ジャンルに比べ高いことから、ECサイトがカタログのように利用されていることが推察できる。 またECサイトで商品を購入する際に、ECサイ
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