【海を渡る技術】変わる経済構造(上) 高速鉄道「丸ごと売ります」 「微妙にレールが曲がっている。乗り心地が悪いだろうなあ」。昨年10月、ベトナムの首都、ハノイに赴任したJR東日本のグループ会社、ジェイアール東日本コンサルタンツ(JRC)の松尾伸之さん(41)はハノイ駅で苦笑した。土木工学が専門だけに、ゆがみはひと目で分かる。 市民の移動手段の主役はバイクだ。近郊都市への鉄道はない。“曲がった線路”は商業都市ホーチミン、港湾都市ハイフォン、中国国境に近いドンダンに向けて放射状に延びていた。 長距離移動の場合、多くの市民はバスを使う。鉄道料金より割安なためだが、ハノイからホーチミンまで約30時間かかるなどスピードが遅い事情もある。 そうした中、ベトナムでハノイ-ホーチミンを6時間でつなぐ高速鉄道計画が始動した。国内の南北の距離を縮めるプロジェクトは日本にとっても「インドに至る東アジア経済圏の大