今、日本の職場では、ダニエル・ピンクの論に反する現象が起こっており、それは労働環境の危機につながる、と筆者は説く。 一橋大学大学院商学研究科教授 守島基博=文 平良 徹=図版作成 ハーツバーグの流れを組んで、ダニエル・ピンクが編み出した「モチベーション3.0論」。今、日本の職場では、ダニエル・ピンクの論に反する現象が起こっており、それは労働環境の危機につながる、と筆者は説く。 今、気になっていることがある。 複数の調査結果を見ると、働く人のモチベーションの源泉が、ダニエル・ピンクの言ういわゆる3.0レベルから2.0レベルへと回帰しているように思えるのである。別の言い方をすれば、働く人のモチベーションの源泉として、フレデリック・ハーツバーグの考えた、いわゆる衛生要因が挙げられることが多いのである。 ハーツバーグは、1960年代に米国ピッツバーグ市で、多数の働く人にインタビュー調査を行い、「