2005年12月、総務省は同年10月1日時点で実施した国勢調査の速報を発表した。日本の人口は2004年10月1日と比べ、約1万9000人減少して1億2775万6815人となり、1920年の国勢調査の開始以来初めて減少した。 今後、日本では急速な人口減少と高齢化が進むと予測されている。その結果失われるものの一つが、高齢化が進む地方の集落だ。1960年代の高度経済成長以降、若者は地方から都市部へと流出した。都市で仕事を見つけ、結婚して家庭をつくった若者は、もう故郷へは帰らない。故郷に残された両親は、今や厚生労働省に“後期高齢者”などと呼ばれる年齢に達している。彼らが寿命を全うした後、もう集落には誰もいない。 高齢化が進み、消滅寸前となった集落を「限界集落」と呼ぶ。正確な定義は、「人口の過半数が65歳を超えており、共同体としての営みが困難になった集落」というものだ。本書はカメラマンである著者