山梨県立文学館で開催中の「金子兜太展」は昭和期の俳句革新運動を主導した巨人の業績を振り返る回顧展だ。兜太の持ち味であった鋭い造型感覚と野性的な句風。その強烈な個性の背後に隠していた知的で緻密なパーソナリティーを展示はあぶり出す。豪放のイメージではとらえきれない俳人の横顔が見えてくる。金子兜太(1919~2018年)は昭和20年代後半から30年代に社会性俳句・前衛俳句の代表的作家として活躍し、俳
第171回芥川賞 受賞作「サンショウウオの四十九日」 杏と瞬は双子。でも、周りからは一人の人間に見える。部分的に結合している他の結合双生児とは違い、ひとつの体を二人で完全に共有している。そのとき、心は、意識は、生命は、どちらのものになるのか――。杏は/瞬は、二人で暮らし、一人一人で考え続ける。 論文を書いているときに「降ってきた」 それ自体、純文学のような話だった。 「34歳か35歳、胃腸の医学論文を書いているときに、パッと場面が浮かんできたんです。偉いお坊さんが山中で木こりと出会い、あまりにも見事に木を切るので思わず見とれてしまう、というものでした。その場面が頭から離れず、文字にしてみると、どんどん物語が進んでいく。進んでいくから書くしかない。400枚くらいになってピタッと止まった。その前後にまた別の物語が浮かんできて、書き出す。それを繰り返すうちに、とうとう目の前に死にそうな患者さんが
1965年ストラスブール(フランス)生まれ、パリ(フランス)、リオ・デ・ジャネイロ(ブラジル)在住。 1990年代初頭からヴィデオや35ミリで映画を制作。また、雑誌の編集や展覧会企画も手掛ける一方、「部屋」をテーマにしたインスタレーション作品を平行して発表。光、色、音、写真、映像を素材に構成される空間には、ベッドやソファ等の家具、ラジオ、小説などが置かれ、何か不在なものや日常に潜む浮遊感を浮かび上がらせる。様々な表現形式をとりながら、見る者に映像空間の中にいるような、そして、時空を超えて人間の記憶や物語を紡ぐような体験を促す。 日本のアニメ製作会社が作り出した少女キャラクター「アン・リー」。アーティストのピエール・ユイグとフィリップ・パレーノが4,600円でその版権を共同で買い取り、この3Dアニメで連作を作るという呼びかけに応えた作品。急速に発展したインターネットによりネットワーク化された
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庄野潤三(1921~2009)は、1961年から亡くなるまで半世紀近くを川崎・生田で暮らした神奈川ゆかりの作家です。庄野は、1955年「プールサイド小景」で芥川賞を受賞後〈第三の新人〉のひとりとして注目され、家族や知己との日常を細やかに記した小説や随筆、市井の人々への取材に基づく聞き書き小説など多くの作品を残しました。すべての文学は人間記録(ヒューマン・ドキュメント)であるという信念のもと作り出された作品は、人生の根本に潜む〈切なさ〉を表現し、生きていることの〈懐しさ〉と感動を読者の心に呼び起こします。 本展は、庄野とそのご遺族から受贈した「庄野潤三文庫」資料に加え、貴重な遺愛の品などにより、その文学と生涯を振り返ります。 ※同時開催=常設展「文学の森へ 神奈川と作家たち 第1部 夏目漱石から萩原朔太郎まで」→ 詳細【会期】2024年6月8日(土)~8月4日(日) 休館日:月曜日(7月15
最古の「芸術作品」と判明した洞窟絵画。インドネシア・スラウェシ島で2017年に発見(2024年7月3日提供)。(c)AFP PHOTO / Griffith University 【7月5日 AFP】インドネシアのスラウェシ(Sulawesi)島で2017年に発見された洞窟絵画が、これまで確認されているものの中で最も古い「芸術作品」だったことが分かった。研究結果が3日発表された。 研究の結果、大きなブタを3人が取り囲む様子が描かれた洞窟絵画の起源は、今から5万1000年以上前にさかのぼる。狩猟シーンを描いたものとされる。 科学誌「ネイチャー(Nature)」に掲載された論文の共同執筆者、豪グリフィス大学の考古学者マキシム・オーベール( Maxime Aubert)氏はAFPに対し、「物語性の存在を示す最古の証拠だ」と語った。新たなレーザー技術を用いて年代測定を行った結果、「初めて5万年の壁
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企画展終了 開催日:2024年2月23日(金)~5月6日(月) 阿波根昌鴻 写真と抵抗、そして島の人々 演習地・十字架の看板を立てて訴える若者 1955年 阿波根昌鴻(あはごんしょうこう、1901-2002)は沖縄戦後、米軍に占領された伊江島で農民たちと共に非暴力の土地闘争を行った人物として知られています。阿波根は「銃剣とブルドーザー」と呼ばれた強制的な土地接収や米軍の横暴、射爆演習場による被害を記録するためにカメラを入手して1955 年から島の記録を始めました。島で唯一のカメラを米軍に抵抗する手段とした阿波根は、「乞食行進」と呼ばれる行脚や陳情を展開するなかで沖縄における「島ぐるみ闘争」の一翼を担うようになりました。 生前、唯一の写真集として『人間の住んでいる島』(1982年)が出版されていますが、ここに収録された闘争の写真以外にも島の人々の肖像や日常を写した写真が数多く遺されていること
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