「美姫さん、その足なに?穴が開いているんなら捨てようよ。」とお父さんが言う。 美姫さんが穴の開いたタイツを履いているからだ。 「こうちゃん、このタイツの便利さを知らないの~。」と美姫さんがニコッとする。 僕は知っている……美姫さんが穴のあいたタイツを履いている理由を。 先日、美姫さんが僕に「見て見て~凄いでしょ~」と自慢げに見せてきたから。 「穴のあいたタイツね…。何かいいことがあるの?」とお父さんが言うと 「このタイツね。なんと、脱がなくても爪が切れまーす。」と美姫さんが自信満々に言ってきた。 「……。」お父さんが絶句をしている。 「ここのね、穴の開いたところから、指を出して爪を切るんだよ。凄くない? 靴下もこの方法だと脱がずに爪が切れるんだよ。」と美姫さん。 お父さんの顔から表情が無くなった。 「お父さん、美姫さんね洋服も穴の開いたところから、痒いところが掻けるって言ってたよ。」と僕が