権力に囲い込まれた大学の研究崩壊 大学が崩壊している。 その始まりは10年前、すべての国立大学が一斉に独立法人になってからだ。それまでのような国立の大学ではなくなり、経営陣を大学外部から招き、国の予算を効率的に使うことや、大学自身で金を稼ぐことが求められることになった。もっとも昨今は私立大学でも国からの交付金がなければなり立たないから、私立大学でも事情は変わらない。 この「改革」は多すぎるといわれていた公務員の数を「見かけ上」減らすことには役立った。そして国立大学を運営する予算である運営交付金も年々減らされ、10年間で13%も減額された。自分で金を稼ぐこと、つまり外部資金を導入することが大学にとって不可欠になってきているのである。 他方、国からの予算を少しでも多く獲得するために文部科学省から天下りの官僚を国立大学に迎えることも一般的になっている。大学の経営にあたる理事に天下り官僚が入ってい