表現の自由を萎縮させる効果もたらした「美味しんぼ騒動」 金平茂紀 TBSテレビ執行役員、「報道特集」キャスター、早稲田大学大学院客員教授 ひょっとするとこの号(『Journalism』7月号)が出るころには、「美味しんぼ騒動」なるものの賞味期限も切れているかもしれない。それくらい、おいしいものの賞味期限は短い。ニュースのネタもまるで人々の日々の消費の対象品であるかのように扱われ、ものごとの考え方や智恵を深める方向に進まないのが常だ。ありていに言えば、飽きられればもう誰も振り向かないような扱いに堕している。だが「美味しんぼ騒動」が提起した問題は深くて広い。 雁屋哲氏の『美味しんぼ』は1983年から漫画週刊誌「ビッグコミックスピリッツ」に連載されてきた人気漫画で、単行本の累計発行部数は1億2千万部というから、国民の間ではよく知られた人気漫画だろう。残念なことに僕は定期的に漫画雑誌を読む習慣をか
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