【シカゴ=田中光】米国で実施されている薬物注射による死刑が当面、滞る可能性が出てきた。米国唯一のメーカーであるイリノイ州の製薬会社ホスピラが、ほとんどの死刑執行で使われている麻酔薬の一種「チオペンタールナトリウム」の製造から撤退すると発表したからだ。 米国で死刑制度がある35州のほとんどの州で、3種の薬物が使われており、そのうちチオペンタールは意識を無くす作用がある。 ホスピラなどによると、同社は製造トラブルのため2009年から国内でチオペンタールの製造を中止。イタリアの工場に製造拠点を移そうとしたが、死刑を廃止しているイタリア当局が、薬物が死刑執行で使われないことを条件にしてきたという。医療現場で需要が落ちていることもあり、同社は製造を断念することにしたという。 元々、昨年秋から品不足だったために、カリフォルニア州などで死刑執行の延期を余儀なくされている。また、在庫があるテキサス州