グルーチョ・マルクスがいなければ、ウディ・アレンは存在していなかっただろう。マルクス兄弟の1人、グルーチョはニューヨークにおいてユダヤ人のユーモアを確立させた人物であり、第2次世界大戦後にはアメリカのコメディーを特徴づけた人物の1人だ。そしてその遺産は60年代に入るとウディ・アレンに受け継がれた。アレンは作品の中でマルクス兄弟の影響を時に明確に、そして時にそれとなく表現しており、自身のヒット映画『アニー・ホール』では冒頭のモノローグでグルーチョの名前を出している。 2人は1961年から友人関係にあったが、グルーチョがウディの出した手紙を返信し忘れたことから、不仲になった時期があったようだ。そして1967年にウディがグルーチョに対し、コミュニケーション不足によって傷ついたと書いた手紙を送ると、グルーチョは以下のようなユーモアに溢れた謝罪の手紙を送っている。 「1967年3月22日 ウデ