地に足の着かないAI論 表現者クライテリオン最新号の特集テーマは「SDGs/AI批判序説」というもので、私は「AIの知能観――シンギュラリティ論に惑わされないために」という記事を書いています。思想誌でAI(人工知能)批判というと、 「AIが人間に追いつくことはない」 「AIの安易な導入には弊害がある」 というような内容を想像する人もいるかも知れませんが、私が言いたいのはそういうことではありません。AIの周辺では「言葉の定義」も「現存する技術との対応関係」も定かでない言説が飛び交いがちで、礼讃論と懐疑論のいずれも地に足が着いていないと感じることが多いので、まずは現代の人工知能技術の特徴を大まかにでも確認して頭を冷やしたほうがよいのではないかという話です。 また、AIが話題に上ると、すぐ「機械が人間に追いつき、追い越すことは可能なのか」という議論をしたくなる人は多いと思うのですが、そもそも「追