エコノミストと経営陣が予測を誤り続ける原因として、戦略の大家ロジャー・マーティンは「定量分析に終始し、定性面を無視しているため」であるとしている。測定可能なものへの依存を強く戒めているのだ。測定に代わるものとしてマーティンが提案するのは、仮説的推論、つまり「想像」だ。 優れた経営と優れた測定には密接な結びつきがある、という見方は根強い。「測れないものは意味がない」「測れないものは管理できない」「測れないものは実現できない」――こんな言い回しをよく耳にすることはないだろうか。こうした言葉が好まれるのは、心地よく響くからだ。何かを測定することで、人は安心感を得る。対象を測定できるほど詳しく知っているということは、対象をある程度コントロールできているということだからだ。 だが、測定可能な物事への依存がいくら心地よくても、それは重大な過ちを生むリスクをはらんでいる。さらに、「何を知らないか」を把握