著: 横川良明 東京は、戦いに行く街だった 大阪生まれの僕にとって、引越してきて17年になる今も、東京は戦いに行く街だというイメージがある。BUMP OF CHICKENの『車輪の唄』を聴きながら夜行バスに揺られること8時間。降り立った新宿のビル街は、目も眩む威容だった。 新卒で入社したのはテレビ業界。会社の所在地が銀座であることが、ミーハーな僕のひそかな自慢だった。だけど昼も夜もないAD業務に音を上げ、あっという間に退職。その後、南青山、丸の内で働いたのち、28歳でフリーランスのライターという道を選んだ。思えば、職場を選ぶ決め手の6割くらいがエリアだった。ミーハーにも程がある。 エンタメ業界を取材して回るようになってからも、赴く先は華やかなエリアが多かった。恵比寿、六本木、中目黒。初めて訪れたときはおっかなびっくりだった足取りもすっかり慣れ、合間に立ち寄る人気のカフェやダイニングが取材の