神社界は戦前への回帰を目指しているのか? 改憲を求める宗教的理由 小林正弥 千葉大学大学院社会科学研究院教授(政治学) 日本会議への注目とその死角 この夏の参院選の結果により、日本政治は改憲の発議が可能な状態になった。その過程の中で大きく注目を集めるようになってきたのが、安倍内閣を支える宗教的・政治的運動である。特に日本会議が注目を浴び、その実態を探究した本が多数刊行され、ベストセラーにもなっている。 それらの本では、ある神道系宗教団体(生長の家)の元信者たちやそれを中心にした事務局(日本青年協議会)の大きな役割が強調されていることが多い。ただこれらの人々の戦略的な意味は重要でも、動員できる人数や資金の点では限定されている。量的な規模において大きな役割を果たしているのは、やはり神社界である。ところがその政治運動に関しては詳しい本がなく、死角になっている。 今年の初詣において一部の神社で改憲