2013年4月17日 エビデンスは「絶対正義」なんかではない 『精神科臨床の考え方』 エビデンスこそが絶対の正義だと考えている『エビデンス原理主義者』は、医師よりも一般の人に多い。これは医師が、「エビデンスだけではうまくいかないことがある」ということを経験的に知っているから、ではない。医師は「エビデンスとはなにか」を知っているのだ。 例えば、抗うつ薬の臨床試験ではプラセボ薬(薬効成分が入っていない)で4割くらいが改善する。これに対して、ある抗うつ薬では7割が改善するとしよう。この差が統計学的に「有意」であれば、この抗うつ薬は効果ありのエビデンスがある、となる(実際にエビデンスが確立するためにはもっと複雑だろうが、ここでは簡略化する)。 次に抗うつ薬の単剤使用と多剤療法を比較すると、改善率が単剤だと70%、多剤療法だと73%だったとする。この差を統計処理して「有意ではない」となれば、「エ