今回は「糖尿病健診」の効果を検討した研究結果を見てみましょう。糖尿病は全人口の10%に及び、寿命を10年短くするといわれていますから、これを早期に発見して治療すれば相当な効果が期待できそうに思えます。しかし、研究結果は「早期発見・早期治療がそれほど大きな成果を挙げていない」という、ちょっと意外なものでした。 この研究が発表されたのは2012年。前回取り上げた一般健診の研究結果と同じく、ランダム化比較試験(被験者を、治療を行う群としない群に無作為に割り付け、評価を行う試験)という質の高い方法で行われています。 対象は、糖尿病になるリスクが高い平均58歳の2万人です。2万人のうち、健診を受けた1万6千人と健診を受けない4千人を約10年間、追跡しました。 その結果、死亡率の比較では、健診を受けたグループが9.5%、受けないグループが9.1%と、健診を受けたグループの方が高い傾向にありました。結果