私が小さい頃、明治生まれの祖母がちょっと怖くて不思議な話をたくさん聞かせてくれました。少しずつアップしていきます。 イラスト:チョコ太郎 「これは私のおじいさんから聞いた話だよ」 そう言うと祖母が語り始めた。 …………………………………………………… 「腕のいい人形職人を知らんか?」 ある秋の終わり、馴染みの旅の薬売りGさんが久しぶりに顔を見せたかと思うと、いきなりそう言った。 「薮から棒に、いったいどうした?」 怪訝(けげん)に思ったおじいさんが聞くと 「S村の庄屋からの頼みでの。急いどるんじゃ」 茶をごくりと飲み干し、話を続けた。 「庄屋の息子が病でもないのに日に日に痩せていっての。おかしいと思った親父(おやじ)が思い当たる事はないかと聞いたが何も言わん。それで下男に一日中、様子を見させたんじゃ。するとな夜中に人とは思えんくらい綺麗な女が来たんじゃと。ただ、女の通った跡はびっしょり濡れ
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