最初、ペストを読んだのは50年近く前だった。 「主人公の医師リューと数人の仲間たちのペストにかかって、世間から隔離された町でも、自分のすべきことをやりながら、たんたんと生活している」という印象だった。 今回改めて、読み直してみると、 まず、最初は、ネズミの死から始まる。 そして、その数が増えてゆき、やがて最初犠牲者がリンパの腫れと高熱でなくなる。 死者の数が増えて行っても、市庁は、この病気がペストであることを認めたがらない。上部機関から、「ペストであり、町をロックダウンする」と電報が来て、初めてペストであることを認めることになる。 相変わらず、行政の対応は、遅いものである。 舞台は、アルジェリアのオランという町。 実際にペストの流行はなかったとのこと。 ロックダウン中の街は、コロナの緊急事態宣言中のように、小さな店は、休業を余儀なくされ、町全体に閉そく感が漂う。 亡くなる人が増え、だんだん