日本サッカーの潮流を変えた男が、今シーズン限りでキャリアに幕を降ろすこととなった。日本代表として4度のワールドカップに出場した川口能活が、11月4日に現役引退を発表したのである。 プレーは革新的だった。 GKに対する理解がいまよりもっと乏しかったJリーグ黎明期に、川口はそれまで知られていなかったこのポジションの本質を提示していった。GKはシュートストップだけでなくポジショニングやコーチングが大事であり、空中を舞うセービングはあくまでも最終手段に過ぎないといったことを、ひとつひとつのプレーを通して啓蒙していったのである。 攻撃の起点となるプレーも、つねに意識していた。キックの精度は抜群で、日本代表では中田英寿と、横浜F・マリノスでは中村俊輔とのイメージの共有は印象深い。フィールドプレーヤーとしての感覚に優れ、素早い攻守の切り替えを実現した。 フォトジェニックでもあった。フィールドプレーヤーに