フェスの現場から音楽シーンの潮流を読み解いていく「フェス文化論」連載。今回は、レジャー文化と音楽カルチャーとの関係性を紐解いていこうと思う。 野外フェスが「行楽」を「アウトドア」にアップデートした 今の日本の「フェス文化」の起源は『FUJI ROCK FESTIVAL』にある。そのことは間違いないだろう。97年の初開催から20年。それは、日本に数多くの野外フェスが生まれ、拡大し、各地に根付いていく歩みと重なっている。 筆者がライター、編集者として音楽メディアで仕事をしてきたのも、だいたいそれくらいの期間になる。なのでこれは実感を持って言えることなのだが、一方でこの20年は、何度も何度も繰り返し「フェスバブルは弾ける」「フェスブームは終わる」と言われ続けてきた期間でもあった。 00年代は特に、興行的な失敗となってしまったフェスを槍玉に挙げてそう語られることが多かった。その代表が、開催から10