「島嶼部防衛の要になる」(防衛関係者)との期待を背負った次期多用途ヘリコプター「UH-X」。計180機を調達する予定だったが、防衛省は今回の事件をきっかけに、白紙化も視野に計画見直しの検討に入った。沖縄県・尖閣諸島をめぐり領海内に中国船が侵入するなど緊張が続く中、事件が国防に影響を及ぼす可能性も出てきた。 多用途ヘリの主な任務は物資や人員の輸送など。現在、陸上自衛隊が保有する多用途ヘリの主力は富士重工業製の「UH-1J」と、三菱重工業製の「UH-60JA」の2機種となっている。 UH-1Jは1機約12億円だが、「行動半径」(給油なしで出発地点まで戻れる距離)が200キロと短い。一方、UH-60JAは行動半径が260キロだが、約37億円と高額だ。 こうした2機の長所を兼ね備えたのがUH-Xだ。開発計画によると、行動半径は230キロで沖縄県の宮古島や石垣島から尖閣諸島・魚釣島までを十分カバーで