前回は、同社内部における情報共有のしくみについて述べた。あるエンジニアの言葉(入社以来一度も仕事内容について上司から指示されたことはなく、いやになればプロジェクトを去るのも自由)を最後に引用した。 「2000名超のエンジニア組織で,ここまでの裁量を与えてしまってカオス(混沌)が生じないのは一体なぜなのか。」これが今回の問題意識である。情報共有のもたらす効果について、何回かに分けて考えてみる。 また、日本の企業に何かしら示唆を与えるものはないのか、移転や学習が可能な考え方があるとすれば、それはどのような条件の下でなのか、ということも念頭に置いておこう。 問題意識を改めて記述すれば、2000名を超える技術者集団が新たな製品やサービスを創造し続ける上で、いわゆる業務分担がすべて自発的な意思のみに基づいて行なわれ、上司による指示や人材配置がなされない。しかし結果としては高い効率と効果が実現している