5組のクラスからなる学年があったとして、各クラスから1名ずつ代表を選出して代表委員会(構成人数5人)を作ることを考えよう。もちろんどのクラスにも生徒は最低1人はいるものとする。そのような委員会を作ることはできるだろうか。もちろん可能だ。 上の話はクラスの数が10組になっても、あるいは10億組になっても変わらない。ではここで一気に話を飛躍させて、無限組のクラスからなる学年を考えよう。このときも各クラスから代表を1人ずつ選出して代表委員会(構成人数無限!)を作ることは可能であろうか。それが可能だということを主張するのが選択公理(axiom of choice)である。 できるのが当たり前に思えるし、昔の数学者もこのことになんの疑いも持っていなかった。ところが20世紀になって数学界を揺るがす事件が起こる。この選択公理から「1つの球を分割して組み直すと同じ大きさの球が2つできる」という僕らの直観に