やはりメルトダウン(全炉心溶融)していた。東日本大震災の発生以降、東京電力では福島第1原発について「燃料棒に損傷の恐れ」「一部で炉心溶融」などの説明にとどめてきたが、最悪の事態が起きていたことになる。識者の間では、かねてからメルトダウンを指摘する声が少なくなかっただけに「東電も当初から把握していたはず」「他の原発の情報も伏せているのでは」と疑う声は多い。 東電が明かした新情報はあまりに衝撃的だった。地震から約5時間後の3月11日午後7時半。1号機ではすでに燃料の損傷が始まり、午後9時ごろには、炉心の最高温度が燃料本体が溶ける2800度に達し、12日午前6時ごろには大部分の燃料が原子炉圧力容器の底に溶け落ちていた。 だが、原子炉を冷やすため、注水が始まったのは、ほとんどの燃料が溶け落ちつつある12日午前5時50分ごろ。東電では、いったん水位が上がり、午前6時すぎに水位が急に下がった時点で