私が、「萌え」という言葉に初めて接したのは、編集長をやっていた『月刊アスキー』に連載された「桃井はるこ新聞」(1998~2001年)においてだった。バックナンバーを引っ張り出してみると何度か出てくるが、彼女の周辺ではもっと頻繁に普段から使われていた。 ここ数年のトピックの1つは、『萌える英単語 ~もえたん~』(三才ブックス刊)のように「萌え」がスタイルとして成立したことだろう。「萌え萌え」→「萌え」となり、「工場萌え」のように一見当たり前でないものにも萌えるというのが楽しい。 1980年代の後半、日本の女子大生たちは「カワイイ」という言葉を濫用していた。「カワイイ(可愛い)」の意味は時代とともに大きく変化してきたわけだが、ここでは、自分の価値基準を商品などに対してマーキングするために使われた「カワイイ」をいう。 この「カワイイ」は、バブル期をはさんで、そう呼ぶものを異質化させる呪文のような
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