気が付いた時は既に末期だった。抗がん剤治療を受けて1年、この11月、毎日新聞社出版局の三輪晴美さん(45)が職場に復帰した。「人生ゲームの『乳がんになる』というマスにコマを進めてしまっただけ」。そう受けとめながらも、心は揺れ動く。告知、治療、そして支えてくれた家族や友人……。復帰までの思いを本人がつづった。 ◇大きかった胸のしこり、実家ある関西の病院へ 「もしかしたら」と思った瞬間のことはよく覚えている。 昨年の11月半ば。数カ月患っていた腰痛で、とうとう体を起こしているのがつらくなり、ほとんど出社できずにいた。1人暮らしのマンションの一室。テレビのリモコンと携帯電話を手元に置き、食事とトイレ以外はソファに横たわる毎日。 そんな状態が2週間ほど続いただろうか。腰痛とほぼ同時に気づいていた左胸のしこりが、乳房全体が硬くなるほど大きくなり、熱を帯びている。不吉な予感に襲われた。「腰痛は胸のしこ