2014年06月07日00:56 カテゴリテクニカル 天皇制の経済学(続き) おとといの記事のおまけ。Aghion-Tiroleの理論は単純なので、いろいろ応用がきく。これを国家にあてはめると、こんな感じだ。 法的な国家主権も実質的な権限も君主に集中するのが絶対王制で、両方とも有権者に分散するのが共和制だが、天皇制は名目的な主権だけを天皇に与え、実権は摂政・関白や将軍などの「令外の官」がもつしくみだ。このまつりごとの構造は、丸山眞男が指摘したように、形式の同一性を保ちながら実質的な変化に対応する洗練されたシステムであり、少なくとも平安時代から続く日本の伝統である。 明治憲法の失敗は、この天皇に絶対君主のような軍を統帥する実質的な権限を与えたことだ。もちろん天皇には軍をコントロールする力はないので、実質的にはナンバー2の「元老」が最高権力者になる。しかしこれも令外の官なので、その権限は伊藤博