今年出版された本が対象。例によって翻訳ものが多い。 ドリス・レッシング『老首長の国』(作品社) キラン・デサイ『喪失の響き』(早川書房) ポール・オースター『幻影の書』(新潮社) ロラン・ゴデ『スコルタの太陽』(河出書房新社) コーマック・マッカーシー『ザ・ロード』(早川書房) エンリーケ・ビラ=マタス『バートルビーと仲間たち』(新潮社) スティーヴン・ミルハウザー『ナイフ投げ師』(白水社) ウィリアム・トレヴァー『密会』(新潮社) P・G・ウッドハウス『ジーヴスと封建精神』(国書刊行会) M・ジョン・ハリスン『ライト』(国書刊行会) 『老首長の国』はヘビー級の貫禄を見せつけた傑作短編集。黒人と白人が共生するアフリカを舞台に、現実の厳しさ、相互理解の困難さを描いている。とにかく人間への洞察が凄まじく、1編1編がズシリと重い。本格的な小説が読みたいという人にお勧めできる。 『喪失の響き』はイ