乳幼児の突然の死は家族には受け入れがたい悲しみであり、社会にとっても大きな損失です。法医学にたずさわる私たちは、亡くなった子どもたちがのこしてくれた教訓を次世代に伝えることが同じ悲しみの繰り返しを防ぐと信じています。そして、残された人たちの次への一歩につながることを願っています。 ここでは、これまでに経験した乳幼児突然死症例から学んだこと、中でも直前まで元気だった赤ちゃんが眠っている間に突然亡くなってしまう乳幼児突然死症候群(SIDS)を紹介します。SIDSはこれまで原因不明とされ理解しにくい病気でしたが、多くの症例と出会うことで、おぼろげながらその輪郭がみえてきました。そこで、この私たちの経験に臨床研究や動物実験などから明らかになってきた文献情報を合わせて、私たちが考える現時点でのSIDSについてまとめておきたいと思います。 乳幼児突然死症候群は生後3か月前後に多い病気 SIDSは生後1