電子書籍はいつまで「姥捨て山」か(1/3) 4月6日の本欄で伊藤元重氏が電子書籍について書かれていたが、新聞各紙も電子書籍への期待を記事にしている。 アマゾン・ドット・コムの読書端末キンドルはさしあたり英語表示しかできない。アップルのiPadも、アメリカで売れすぎて日本の発売が1か月延期されたそうだが、注目度は高いようだ。 こうした期待に水を差したくはないが、「電子書籍『姥(うば)捨て山』説」というのがある。 ○本を穏便に撤収 売れ筋の小説などは、単行本として出版されたあと、しばらくたって文庫本になる。私が若いころは、文庫化された本はかなり長いあいだ入手できたが、いまはそうはいかない。書店の文庫の棚は飽和状態で、返品されれば日の目を見る機会は少ない。ほどなく断裁されて品切れ状態になる。そうなれば、有名作家の一時は評判になった本でも入手できない。出版社は有名作家に顔が立たず、とりあえず