核兵器の英訳は“nuclearweapons”で、原子力の英訳は“nuclearpower”――まったく同根のはずのこの両者を、いつの間にか日本人は別物と思い込んでいた。 20世紀最大の事件は、米国による日本への2つの原子爆弾投下である。広島にはウラン型、長崎にはプルトニウム型の核爆弾がそれぞれ落とされた。コードネームはおのおの「リトルボーイ」と「ファットマン」。未曾有の破壊力とそれによる惨劇のありさまは、世界中に核兵器の強大な威力を思い知らせた。人類が目撃したその恐怖は戦後、世界の政治と経済に2つの効果をもたらす。一つは「核均衡による緊張と平和」、もう一つは「新エネルギーとしての原子力発電」である。 日米安保条約に基づく米軍駐留の対価として米国の「核の傘」で経済復興に邁進した日本は、原発事故を予測して警鐘を鳴らし続けた学者や情報を知りえた国民の反対を押し切り、政府が原発を導入する。「核の