東日本大震災による福島第1原発事故への対応の遅れで、国際原子力機関(IAEA)に対する信頼や評価も大きく低下した。IAEA事務局長を務める天野之弥(ゆきや)氏はその批判の矢面に立たされている。IAEAといえば、イランや北朝鮮の核開発に目を光らせる“核の番人”として表舞台に登場するが、それ以外の活動はあまりよく知られていないのが実情だ。 17日の米紙ウォールストリート・ジャーナル(電子版)は、福島第1原発で最初の爆発があった後、IAEAがその事実を確認したのは5時間も後だったとし、「IAEAの当局者は(本部のある)ウィーンの危機管理室から、原発事故の経過を古い情報とともに監視し続けていた」と皮肉った。 記事はIAEAのアナリストを最近、引退したというロバート・ケリー氏の「各国はIAEAの勧告に従う義務はない。IAEAは核の番人ではなく、仲裁人だ」とのコメントを紹介。また旧ソ連・チェルノブイリ