昔から妖怪にたいして日本人は高い関心を持っています。妖怪やお化けは日本美術や歴史資料にもたびたび登場します。8世紀初期に書かれた「古事記」に、すでに、八つの頭と尾を持つ大蛇「ヤマタノオロチ」についての記録があります。室町時代の絵巻には、身の回りの日常品ですら妖怪化し、ぎょろりとした目玉と小さな手足で、夜な夜な京の街を徘徊する様子が描かれています。そして江戸時代、妖怪絵師鳥山石燕によって妖怪のイメージは確定されました。 しかし、いまだかつて妖怪の存在が実証されたことはありません。 一体妖怪とは何者なのでしょうか。妖怪については、古くから研究がなされてきました。民俗学の祖、柳田國男は妖怪を神が落ちぶれた姿だと定義しました。民俗学者小松和彦氏は、妖怪を人間が創りだしたものとして、「この世」と「あの世」の境界もしくは既知と未知の境界に住まう、はみだした存在だとしています。 科学が発達した現代でもな