「とうほく方言の泉」連載を終えて 人々と故郷つなぐ絆 <小林隆東北大方言研究センター教授> 「とうほく方言の泉」は3年続いた。その間、たくさんの方言を取り上げた。読者のみなさんは、どの言葉が印象に残っているだろうか。私は新聞のコラムを切り抜いて箱に保管してきた。それらを取り出して並べてみると、今にもテーブルの端からあふれ出しそうである。毎回少しずつ湧き出た水が大きな泉に成長した。豊かな言葉を湛(たた)えた“方言の泉”が目の前にあるようだ。 私にとっての収穫は、コラムを通して東北方言の二つの特徴に気付いたことだ。ひとつは、この方言はたいそう個性的だという点である。それは特に擬態語に現れている。グエラ、ビラリ、ハカハカ、ワラワラ、読者のみなさんは、これらがどんな意味かすでにご存じであろう。こうした擬態語の発達は、東北人が、できごとを生き生きと語ることに長(た)けていることの現れである。現場