前回、福祉国家フィンランドを取り上げたが、「ゆりかごから墓場まで」という有名なスローガンは、英国の労働党が第2次大戦直後に掲げたものである。ちょうどその頃、政府が鉄道や通信をはじめとする重要基幹産業の国営化を推進していたことも相まって、財政赤字は雪だるま式に膨らみ、経済は悪化の一途をたどっていった。 これがいわゆる「英国病」の始まりである。福祉政策と国有化政策の失敗から国民の反感を買った労働党は、1979年から18年間にもわたって、表舞台から消えることになる。 代わって登場したのが「鉄の女」マーガレット・サッチャー率いる保守党である。自助努力と効率性をモットーに掲げ、「小さな政府」を目指すべく、民営化、規制緩和、金融改革などを不退転の決意で推し進めていった。 途中、大量の失業者を生むなど、荒療治な側面もあったが、結果として、外国直接投資や証券投資が急速に増え、経済は回復していった。ただ、公