ノンフィクション作家上之郷利昭の戸塚ヨットスクールルポタージュ「スパルタの海」を原作に、東宝東和が制作したのが映画「スパルタの海」だ。プロデューサーは東映で石井輝男監督「江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間」など数々の傑作エログロ映画を量産した奇才天尾完次。監督は吉永小百合主演「伊豆の踊り子」などを世に送り出した青春映画の巨匠西河克己。主演の戸塚校長を演じるのはコメディアン“ベンジャミン伊東”として当時から既にお茶の間の人気者だった伊東四朗。 1983年6月、所謂"戸塚ヨットスクール事件"によって、戸塚校長らが傷害致死容疑で逮捕される。“反戸塚ヨット”一色の世論に押されて、東宝東和は封切り目前にもかかわらず上映を中止してしまう。この事件以降スクール及び戸塚宏は"悪"の象徴となり、日本の教育現場から“体罰”が消えていく事となる。以来20年以上“ゆとり教育”“体罰反対”の世の中で、この映画の“封印”が