【カイロ=今村実】内戦状態のシリアで、反体制派と政府軍との激しい戦闘が続く北部アレッポ周辺で八月から医療支援を始めたエジプトの非政府組織(NGO)代表は、カイロで本紙の取材に応じ、反体制派の兵士らを治療している医師までも「政権側の標的になっている」と証言。医師や麻酔薬などが不足し、助かるはずの負傷者が死亡している実態を明かした。 NGO「タハリール広場医師連合」代表の医師ムハンマド・ファタハさん(42)は、先月下旬から今月上旬、アレッポ近郊に反体制派が作っている野戦病院で医療支援をした。 政府軍が空爆や無差別砲撃を強化しており、同氏によると、担ぎ込まれる負傷者には兵士だけでなく、子どもをはじめ市民も多く含まれている。手脚を失っていたり、腹部をえぐられるなどした深刻な重傷者が目立つ。