成人のヒトの皮膚線維芽(せんいが)細胞から作製した人工多能性幹細胞(iPS細胞)をそのまま増殖させることに、京都大学の山中伸弥教授(分子生物学)と高橋和利講師(同)らの研究チームが成功し、2日付(日本時間)の米科学誌「プロスワン」(電子版)に掲載された。胎児の皮膚線維芽細胞を使っての成功例はあるが、成人では世界で初めて。 これまで、細胞の増殖を助けるマウスの線維芽細胞に、ヒトの線維芽細胞から作製したiPS細胞をまいて増殖させる方法が一般的だったが、マウスにウイルスがある可能性があり安全性が問題となっていた。 研究チームは、30代〜70代の成人計3人から採取したヒトの皮膚線維芽細胞を一皿ずつ入れ、iPS細胞の作製に必要な4因子をそれぞれ導入して作製。その後、自然に増殖し約130日間でそれぞれ10倍以上に増えた。遺伝子解析を行ったところ、増殖したヒトiPS細胞は正常に分化していることも確認でき