Contents ●ヘレン・ケラーの再評価 ●付記(ドロシー・ハーマン著「ヘレン・ケラー:ある生涯」紹介) ●障害者の権利条約について ●障害学研究会関西部会第8回研究会のご案内 No7 ヘレン・ケラーの再評価−20世紀の終りとセクシャリティー 「ヘレン・ケラー=奇跡の人」という構図ができあがったのはいつ頃だったのだろうか。この構図が成立したことで、いつしかケラーは普通の生身の人間、ひいては「普通の障害者」からもかけ離れた聖人、聖女と見なされるようになったと言える。 「奇跡の人」というイメージを決定づけたのは62年のアーサー・ペン監督の映画『奇跡の人』だったにちがいない。ウィリアム・ギブソンの戯曲 "Miracle Worker"に基づいたこの映画を通じてヘレン・ケラーとアニー・サリバンを知っている人が多い。この映画の原題は「奇跡を起こした人」という意味でサリバンを指しているが、