十六世紀後半、日本を訪れたイエズス会の宣教師ルイス・フロイスが当時の日本の風俗を欧州と比較して天正十三年(1585)六月十四日付でまとめられた小冊子”Europa e esta provincial de Japão”の邦訳。様々な歴史書でも一次史料として引用されることが多いが、当時の日本の文化、風俗がよく伝わってきてとても面白い。 わざわざ書く事でもないかもしれないが、ここでいう「ヨーロッパ」「日本」というくくりは現代人が想定するそれとは違うことは前提として理解しておく必要がある。 フロイスは1532年、ポルトガルのリスボンに生まれ、1548年、十六歳でイエズス会入会、そのままインドのゴアにある当時の東アジアにおけるキリスト教教育の最高学府聖パウロ学院に入学し、二度と欧州に戻ることなく1561年に司祭に叙任、1563年に日本へ宣教師として訪れ、1597年に亡くなるまで三十五年間滞在した。