ボルネオ島の人達が、猩々を捕らえるのに面白い方法がある。 アリックという強烈な酒を彼らは愛飲するが、その酒を数滴落とした水ガメを、猩々の巣の下に置く。 すると猩々は、その香りに誘われて木を下り、やがて、それを飲み出すのである。 翌日から彼らは、酒の分量を少しずつ増してゆく。猩々は生まれつき大酒飲みではないが、毎日少しずつ酒を濃くしてやると、知らず知らずの中に酒の味を嗜み、酒豪に変身するのである。 最後には、生のままのアリック酒を置いても、ガブガブ一気に飲み干してしまうようになる。 しかし、その時はさすがに猩々は、ポーッといい気分になって人間と同様、酔っぱらいになり、あたりかまわず石を投げたり、木を折ったり、散々暴れ回る。果ては高鼾で寝てしまうのである。 そこを彼らは、まんまと捕らえるというのである。五欲という迷酒に酔っぱらって、その自覚もない人間程、危ないものはない。 瀬戸内海で遊覧船が沈